まりぃくりすてぃ

メリー・ゴー・ラウンドのまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

メリー・ゴー・ラウンド(1955年製作の映画)
4.1
回る回るよ遊園地だよ。最初の数分でもう、良作、ってわかった。私は個人的には回る系遊具が苦手(コーヒーカップなんて吐き死ぬん)だけどね。

寄りが多いキャメラは自在さが涼しげ(←ことさら情緒的であるよりも)で、ボクシングでいえば、フックやアッパーを好みつつも足をも使うボクサーファイタータイプ。
ドラマは、しかし、深まってくる前に地味だった。農協がどうしたこうしたに終始しそうな。何だか眠い。周りにも寝落ちの人が何人か。。
倦んじゃう私(マリ)に語りかけるみたく台本は主演男子にこう言わせた。
「おれの大切なマリ おまえのためなら月でもとってきてやる おまえなしには生きていけないんだよ」
そしたら、ヒロインのテレーチク・マリがこう悲観した。
「わたしたち同じ道を歩むわけにはいかないのよ」

ダメな泥んこ映画なのかなと私も悲観しかけたけど、集団ダンスのところから、退屈を感じなくなった。しかし、ムニャムニャと寝言みたく私はこんな言葉を脳内でいじくりながら、長いダンスの盛り上がりを斜めに楽しんだ。
「ヒロインのマリは浅丘ルリ子19才が、悲恋相手マテは小林旭21才がやればよくない?(ついでに恋敵シャーンドルは宍戸錠26才が。父さんは佐野周二か誰かが、、。そうだよ、邦画でいいんだよ古い邦画で。こういうモノクロ話は」
────しかし、終盤へとどんどんドラマの引力が増してった。引き裂かれた恋は! 父娘の葛藤は! モノ扱いされる女性としての反抗は! あー、いい!! 恋敵が斧を持ったとたん、私は斧がどうなるかを100%正しく予想。それぐらいに映画と私が同期した。
ハンガリーの農村に幸あれ。あやかって私たちにも幸よ来い。そんな気持ち。終わってみれば、しっかりきっちり佳作。喝采を送りたいぐらいに!

野球でいえば、三者三振で幸先よくスタートした投手が、二回からはダラダラ毎回ランナーを背負ったけれど無失点だけは何とか続け、突如七回から8連続ぐらいの奪三振で、1-0勝利、、、、な映画。
サッカーでいえば、開始早々の速攻からオーバーヘッドシュートを枠に当てて観衆を沸かせた後、パスミスの繰り返しとかで追い詰められてばかりだったのが、70分すぎぐらいからスーパーサブたちが走りまくったりして、PKか何かで1-0勝利、、、、な映画。
フィギュアスケートでいえば、4回転ルッツをいきなり決め、
(あと略)

[国立映画アーカイブ “ハンガリー映画特集” 11/24に再上映あり]