『移ろう季節の中で』からのイ・ドンウン監督祭の締めとして、これまた釜山国際映画祭出品の最新作をウォッチ……今回は母と子どもたち＝家族の物語としてより語り口が広がった作品でした。

予告編↓
https://youtu.be/WzkV5JrdI6k

家族を捨てて出て行った母への憎しみを抱えながら長年生きてきた子どもたちの元に、ある日、入院中の母からの手紙が届き、子どもたちは母に会うための家族旅行に出かけることになり、その旅行を通じて家族としての絆をより深めていく……的なハートウォーミングな物語。
(相変わらず"不在な存在を介して各人物たちの関係性が深まっていく"というイ・ドンウン監督の十八番展開)

過去作と比べてもコメディ寄りのキャラ＆演出だし、主人公の長女役が(前作に続いて出演…)『パラサイト』母さんことチャン・ヘジンおばちゃんだから序盤から期待は高まったものの……総じてニヤニヤ程度の面白さ止まりで残念。
(カウリスマキ監督ぐらい振り切ってやってくれたら傑作になったかも！)

それでも、やっぱりささやか＆控えめで上品な感動シーンが用意されていて、食堂での食事シーンと家族写真を撮るシーンは「不在な人物の存在が確かにある＝画面に映っていないけど存在している」ことが伝わってくる名シーンでした！

あとは、母親について、不在を介して結ばれた関係、血縁を超えた絆、ゲイのキャラクター、新しく誕生する命、和解……と過去２作で描かれてきたテーマを踏襲しているのも良き！
(だからイ・ドンウン監督作は続けて見た方が面白い！)

さらに、新しい試みとして本作では"ファンタジーシーン"が描かれているんだけども……ぶっちゃけ完全に浮いちゃってると思うんで、あくまでもリアル描写の積み重ねで勝負して欲しかったかな。