こぼちゃん

ひとつの太陽のこぼちゃんのレビュー・感想・評価

ひとつの太陽(2019年製作の映画)
4.1
監督 チョン・モンホン、不器用な弟、優秀な兄、職業の劣等感から偏愛する父、ヘアメイクの母の一家の物語(台湾)。

「金馬奨」最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀主演男優賞、最優秀助演男優賞、最優秀編集賞を受賞。

土砂降りの雨の中、チンピラのツァイトウと、アーフー(一家の弟)が食堂に殴り込み、ターゲットの男の手首を切りラーメンの中に落ちる。アーフーは被害者に不満はあったものの、暴走する悪友に巻き込まれた。

裁判では、ツァイトウの圧力に自分にも非があったと言ってしまい収監、150万の賠償金が確定。また、アーフーの子供を妊娠したと言う15才のシャオスーと面倒を見る叔母が訪ねてくる。

被害者の父が、言いやすいアーフーの父の職場、運転教習所に来て、チンピラのツァイトウからは取れないから、賠償金を払えとしつこくせまる。益々いらだつ父。クラブでホステスのヘアメイクをする母は、シャオスーを引き取り、将来の為に、ヘアメイクの助手をさせる。

予備校のシャオゼンは、優秀で優しい長男アーハオが好きで、動物園でデートをする。手を握り嬉しそうなシャオゼン。しかし.......。

父親は、自分の職業に劣等感があり、息子への過剰な期待と過剰な失望感を持っていた。長男は、彼女に司馬光の水かめの話をする。それは誰しもが、表の自分と裏の自分がいるということ。実は、周りの大きな期待に、押し潰れそうだった。

アーフーが出所の際、仲間たちが、喜納昌吉の「花〜すべての人の心に花を〜」を歌います。60ケ国で3000万枚の売上。人生色々あるけど、自分の花を咲かせなさい。

台湾の卵料理の一つ、ティナダンが出てきます。ゆで卵を八角やシナモンを入れた煮汁で何時間も煮ては乾燥を繰り返す。身がほぼなくなりゴムのように固い食べ物。母の得意料理で、監房の仲間に弟が配ります。

予備校の彼女、シャオゼンは、少し、田中みな実アナに似てる。

子供の時は、母の自転車の後ろに乗るのが好きだった弟。前を向くようになった弟は、鍵のかかった自転車を拝借し、母を後ろに乗せ走る。木々からこぼれる太陽の光が新しい未来を照らしている。

自身の職業の劣等感から弟を否定していた父も、少しずつ心を開き、昼は車の洗車、夜はコンビニで仕事に頑張る弟をねぎらい、一緒に酒を飲み和解します。今を生きる、我が道を行けの言葉は、弟への、そして自分へのエール。
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