犬にとって、少なくともマローナにとって、世界はとてもアナーキーなものなのだと思う。でも、もし人が犬とかかわる時の、家族となる時の、かける愛情を奇跡のように感じ、幸せだと感じてくれる、そんな瞬間がほんの少しでもあるのだとしたら、人はそれをどちらかの命が尽きるその時まで続けていかなくてはならないのだろう。そこに残るものが罪だけであってはならないから。画面狭しと展開される絵心溢れるアニメーションはマローナの見つめる世界（犬が認識した色の世界と言うよりは、その心の目で見た世界と言う風に感じた）であったろうし、それを完璧に演出し切った音楽の素晴らしさにもう虜。心震える命の映画だった。鑑賞を考えている方は先ずあらすじを読んだ方が良いかも。
