にくそん

Awayのにくそんのレビュー・感想・評価

Away(2019年製作の映画)
3.8
アニメって最高だな!っていうことに気づかせてもらえる。実写だったらVFXでなんとかするしかなかったり、それで嘘くさくなったり、莫大なお金がかかったりする表現を、惜しみなく思うさまやれてしまうすばらしさ。作り手が想像の羽を伸ばしたいときに伸ばしたいところまで伸ばしているようで、その楽しさに共感する。

黒猫たちが間欠泉みたいなものに、お行儀よく並んで水を飲むところ、紋様っぽくてなんかよかった。黒い岩場に激しく降る雨の白さも美しい。巨神兵みたいなデイダラボッチみたいなやつは恐怖や孤独や死の象徴なのかな。あれの造型がわりと好きだった。最後、雪山を越えたら景色が海に向かって開けているのがたまらなく気持ちよかったな。「DEATH STRANDING」っぽさを勝手に感じつつ。主人公の顔はなんか、マウスで描いたみたいな独特なタッチでちょっと苦手だったけど(目を閉じると、まぶたも何もなくなるのなんなん)。

日本語版エンディングは、うーん、難しい、「なくてよかった」なんて簡単には言えない。この映画を日本で劇場公開するの結構大変だったのではないかと推察するし、そのために尽力した人がいて(企業じゃなく個人単位でいて)大変なことをやってくださっている、それを思ったらなかなか。でも、映画を観ながら、今のはこういうことかな、こんな意味もあるかな、と時に思ったり、時に何も考えずにただ受け取ったりしていたのが、最後に日本語詞がはっきり聞こえてくる歌と重ね合わせたことで、ものすごく分かりよいものになって、それは怖いことだと私は思った。それでも、公開してくださって、一人でも多くの人に伝わるようにと願いを込めていろいろ考えてくださって、ありがとうございます。
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