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はなれ瞽女おりんのkoyamaxのレビュー・感想・評価

はなれ瞽女おりん(1977年製作の映画)
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瞽女(ごぜ)さんとは、、
三味線をひき歌をうたったりすることを生業とした盲目の女旅芸人のことだそうです。。

「人生の漂白を見つめ、魂のありかを求める」
水上勉原作。

三味線を弾く人、とそのシチュエーションが観たかったということが鑑賞のきっかけ。。


大正時代。
幼い頃に瞽女たちが集団で生活をする瞽女屋敷にもらわれ、盲目の旅芸人となったおりん。
だが、掟を破って男と契り、一座を追放され放浪の身に……。

三味線を弾きつつも、男とも寝る。ひとりで生きていくためには必要な営み。。。その道中、偶然出会った男と行動を共にし、やがて二人の距離は近づくのですが、、。
男はおりんと「男と女」になろうとしません。

いったいこの男は何者なのか?という疑問を縦軸にして描く、男と盲目の女のロードムービーとなっています。

ひたすら雪国の雪道を歩いていきます。
。ひたすらしんどい道を歩くその姿を観て何を思うか。。というところに
映画の結構なエネルギーを割いています。

古き良き日本の景観は叙情的で、その美しさは特筆ものですが、、。

なんというか、子供時分に感じた「大人が観る 暗く寒い ザ 日本映画」のムードがモロにあります笑


男女に限らず、様々な出会いと別れが淡々と描かれていて、それがかえって、いったん離れたらそれでおしまい。という儚さがあり、リアリティを感じます。

「おれはここから南へいくからあとでまた会おう」とか、
おおよそすぎる約束して別れたりとかして(^^;)
今度会える保障もないですよね。。
電話もGPSなどあるわけないし(^^;

目が見えない故の、あらゆる恐怖感含め、瞽女としての生き方(生きづらさ)をひたすら「外側」から淡々とした視線で見つめる「一期一会の愛」はある種の冷たさすら感じました。
そのあたりの客観性がこの映画独特の距離感なのかもしれません。。


ちなみに同じ原作で「戯曲」や「人形劇」もやっているようで、
話のながれはほぼ同じなんですが、こちらは孤独と向き合う心象風景、絶対的な闇の時間。そういった内面のものと向き合うおりんの世界を描き、その先にある、「人と人が触れ合うこと」に力点を置いて描いているようです。


表現方法の違いを見比べてみるのも面白いかもしれません。。
(映画の話じゃなくなってしまってすみません)


映画は、おりんを演じるのが、岩下志麻なんですけど、時に怜悧、時に慈愛に満ちた表情を作るあの目は今回一度も拝めないということで、「岩下志麻主演」なのに、なかなかいけずな映画でもあります笑
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