町蔵

金太と銀次の町蔵のネタバレレビュー・内容・結末

金太と銀次(2019年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

2019年/日本/84分
監督:大力拓哉、三浦崇志
出演:大力拓哉、三浦崇志

◆長い間友人同士の金太と銀次は、一日おきに森の中を散歩する。ユーモアたっぷりの会話と鳥の声、風が揺らす木々の音と音楽。木や丘に見守られながら、やがて二人は死の世界へたどり着く。耳に馴染む大阪弁とお互いの会話の対比と反復が心地いい。独特の世界観で新たなジャンルを確立した大力三浦コンビの渾身の最新作。

築館奈菜子さんも指摘するように、なにわのアルベールセラと言うべきか。
木漏れ日の下での時間の経過は心地よく何度か寝落ちした。

最後に、昨年の同映画祭でグランプリに輝いたアルベール・セラ監督『Roi Soleil』に匹敵するような過激さと狂気に満ちた、大力拓哉&三浦崇志監督の『金太と銀次』に言及しておきたい。この作品は、固定キャメラで捉えられたフレームの中で、何度か場面を変えながらも、ふたりの登場人物(ロボットと狸の被りものをした監督自身)が大阪弁で取るに足りない会話をすることに終始する。一切の切り返しもクロースアップもなく、物語といえるようなものは生起せず、そこでは時間だけが経過していくことで、ふたりの存在そのものの強度が時間を追うごとに高まっていく。フレームと音響を巡る方法論において先述したシャロン・ロックハートに近接しているともいえる本作が、コンペ外でのセレクションであったことは残念でならない。
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