囚人13号

ヴィタリナの囚人13号のレビュー・感想・評価

ヴィタリナ(2019年製作の映画)
3.7
観てるだけで肺に異常をきたしそうなスラム、常に画面の半分近くが真っ暗で疲れた。相変わらず白人は排除され、ヴェントーラの痙攣や傾いたカメラアングルなど全てが飽和して不穏この上ない構図が完成する。

帰宅するも夫の葬儀に間に合わなかったヴィタリナが愕然としたまま部屋で白いターバンを頭に巻き、またすぐに外すというだけの短いシークエンスが本当に素晴らしい。
影のように黒い肌とのコントラストに加え、照明位置が全く掴めん(窓以外のどこからか)光が差し込むことでその神々しいまでの白さを際立たせる。また全身影に覆われ、濡れた眼球だけが辛うじて識別できるホラーショットもあり。

コスタらしい「静」的な長回しもショックで無感情となった人間を捉え続け、そこには強度という概念など存在せずひたすら痛々しさだけが引き伸ばされていく。
まぁいつでも終われるような映画なんで90分くらいに纏めてもらえたら良かったかな…。
囚人13号

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