うみぼうず

羊飼いと風船のうみぼうずのレビュー・感想・評価

羊飼いと風船(2019年製作の映画)
4.0
高原で牧羊している家族を題材にした牧歌的な映画…と思って観始めたら、想像とは違う内容に戸惑う。チベットにも近代化と一人っ子政策の波が否応なしに押し寄せ、4人めの出産は罰金を取られるという。
転生と現実との狭間で悩む家族、取り分け奥さんのドルカルの葛藤が描かれる。保守的な夫と、感傷に揺れる妹に対し、現実的なドルカルが行う選択は過激にもみえるが最も生産的ではある。
時々挟まれる羊たちは思い通りにならない人間関係や環境を表していて、汚さも美しさも感じる。
色温度が抑えられているがチベットの風景とマッチしていて映像は非常に美しい。演出も個人的に好きで、屋内から外を映したり直接映さなくても影や音で表したり、またチベットの葬式や死生観もみれて、面白いテーマではないが最後まで楽しんで観れた。
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