ジェイコブ

ジェントルメンのジェイコブのネタバレレビュー・内容・結末

ジェントルメン(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

イギリスの大麻王ミッキー・ピアソンが引退する。その噂は裏社会を駆け巡り、利益は500億にも及ぶとされるビジネスの後釜を狙い、チャイニーズマフィア、ロシア人、さらにスラム街の悪ガキまでが入り乱れる大混乱を巻き起こす事になる。そんな中、金に汚い私立探偵のフレッチャーは、ミッキーの右腕レイモンドのもとを訪れ、これまでにミッキーを調査した結果を2000万ポンドで売ろうとする。レイから高級ウィスキーをご馳走になったフレッチャーは、やがて自分の情報を調子よく語り始めるのだが……。
シャーロック・ホームズシリーズで知られるガイ・リッチー監督作品。監督の原点と言われる、ロンドンのワルたちによる騙し合いの騒動を描く物語で、序盤に語られる複雑かつ入り組んだ人間関係や伏線、謎もラストを迎える頃にはパズルのピースがカチッとハマるかのようなすっきりとした結末に落ち着いている構成力の高さが素晴らしい。
本作はマシューマコノヒー演じるミッキーによる、敵に対する趣向を凝らした制裁の数々も見所の一つであり、中でもミッキーを裏切った悪どいユダヤの富豪への仕打ちが、シェイクスピアのヴェニスの商人からの引用であるのが非常に洒落が利いている。他にも紅茶に赤痢菌を混ぜて中国マフィアのボスに飲ませたり、下劣な新聞の編集長には、薬に酔わせて豚とヤる姿をビデオに撮ると言うユーモラスなものまで(豚とのビデオはさすがにやりすぎたと引いてるレイ達のシーンがまた面白い笑)
スタイリッシュなアクションもさることながら、個性あふれるキャラクターの数々も魅力的。本作の狂言回し、金に汚い私立探偵フレッチャーをヒュー・グラント、スラム街の悪ガキ達に拳で礼儀や生きる道を教え、正しい方向へ導こうとするジムのコーチをコリン・ファレルと豪華キャスト満載の本作。コーチの教え子達がただのイキりYoutuberじゃなくて、ちゃんと戦える格闘家であるのも良く、ミュージックビデオも無駄に作りがいいのが笑える。
鬱屈した気分を吹き飛ばすかのようなクライムアクションであり、まさに今の世の中にこそ、広く進めたい作品である。