ヤマダタケシ

春江水暖~しゅんこうすいだんのヤマダタケシのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

2021年7月 新文芸坐で

・三代が繋がって暮らす大家族の話。記憶があいまいになっていくおばあちゃんを中心に、変わらない風景が変わって行く様を描く感じは『百年の孤独』だった。ただ背景に流れる大きな河を中心にした風景、そこでの生活の描写が圧倒的にこれが中国の話だという事を感じさせる。
・また同時にそこでは大規模な都市開発が行われていて、登場人物の人生の変化にもそれは大きく関わってくる(漁師をしている次男?や違法麻雀を開いている三男など)。
・また大きな主題となっている物質的な豊かさを第一とする(させられる)息子の世代と、それ以外の関係性の豊かさを第一とする孫の世代の価値観の違いも描かれ(その背景には一人っ子政策がある事もセリフで語られる)、時代や政治という大きなものが生活に影響していく感じが映っていた。
・確か予告か何かで山水絵巻みたいなことを言っていたがまさにその通りで、遠景から撮ったショットの中に点在する様々な人々の時間が長回しで切り取られる感じは、まさに一枚の絵巻物を見ている感じだった。川沿いを進む孫娘カップルを追いかけるシーンなんてまさにそんな感じ。