rmhチョコがけ

こんなにも君が好きで goodbye motherのrmhチョコがけのレビュー・感想・評価

4.0
ずっと気になってたベトナム発同性愛をテーマにした作品。
良かった。同性愛の苦悩の描き方は王道中の王道だったが、役者陣が良いため、そこまで陳腐にならない。

アメリカ国民となったヴァンが恋人イアンを伴って故郷ベトナムの田舎街に帰るところからスタートするこの物語。
最初から認知症のおばあちゃんと、ヴァンの母は全てを見抜いている。
おばあちゃんは終始イアンを初孫のヴァンだと勘違いし(たふり?)をし、お母さんも初回イアンをヴァンと間違えて抱き締めるシーンがある。
2人を混同させることで、最終的に2人一緒の幸せを願う、というところに繋げたかったのか。

中盤、自分たちの関係をなかなか公にしないヴァンに苛立ちながら、家の中で触れ合えないのが嫌だというイアンに、ヴァンが返した台詞が印象的だ。
"家の中でも外でも、触れ合えないよ。"
"ここはベトナムだ、アメリカじゃない。"
これ2文目は要らなかったなー…最高のメタファーになったのに。
保守的なベトナムの田舎街は、自分たちの居場所ではないと再確認するシーンだ。

終盤の台詞なしのお母さんの演技は秀逸だった。
空港での別れで、最初に息子ではなくイアンを抱き締めたのは、やはり冒頭のシーンを彷彿とさせるとともに、2人一緒の幸せこそ、私の求めるものだという無言のメッセージが強く表れている。

母は、世界中を敵に回したって息子の味方だ。それを痛感させる作品でもあった。

邦題の「こんなにも君が好きで」はとても良い。
劇中の2人のラブシーンを言語化したような邦題。触れ合うことの大切さも気付かされる。

映像、音響、描写、すべて個人的に好みな作品だった。