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劇場版「鬼滅の刃」無限列車編のhasseのレビュー・感想・評価

3.7
演出3
演技4
脚本3
撮影5
音楽4
照明-
インプレッション3

鬼との戦いをめぐる「思い」の断絶(断ち切ること)と、継承(受け継ぐこと)。
このテーマに関する、メインの二人(炭治郎と煉獄)の物語だ。

この映画は第一パート(下弦の鬼との戦い)と第二パート(上弦の鬼との戦い)に分けることができる。
第一パートでは、下弦の鬼の能力による夢幻に、炭治郎がは苦しめられる。家族全員が無事平穏に暮らす夢の世界に誘われる。炭治郎は卓越した精神力で幻惑をはねのけ、夢の世界を断ち切り、現実へと回帰する。

第二パートでは鬼との対決の後、炭治郎は煉獄より自らの生家を訪問するよう助言される。そこには、煉獄家代々伝わる文書があり、炭治郎が求める秘技が記載されている可能性があるからだ。
煉獄自身は文書を読んだことがないというが、煉獄は確かに後進に思いを託し、炭治郎はその思いを継承する。

私は原作未読、アニメ全話視聴の状態で観賞したため、第二パートの展開がストーリー上では唐突であり、鬼が煉獄に鬼になるよう誘い込む動機も合点がいかなかったが、
鬼との戦いをめぐる過去への未練を断ち切り、未来への思いを受け継ぐという一連のテーマを成立させるには、第二パートは必要不可欠だといえる。

そして、原作に最大限忠実に、かつ原作の一部を切り取り二時間の中で起承転結を再構築することに成功していたと思う。また、下弦の鬼の首を狙う360度回転のカメラワークで魅せるバトルシーンは圧巻。
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