すいかのたね

劇場版「鬼滅の刃」無限列車編のすいかのたねのネタバレレビュー・内容・結末

4.8

このレビューはネタバレを含みます

原作ファン、アニメ視聴済みです。最高に面白かったし泣けました。内容も話の流れも全て知っているはずなのに、演技と演出が本当に素晴らしく自然と涙が出てしまいました…分かってるけど泣けるって凄いことだと思います。色々な場面で原作より演出が増されていました、全ていい方向に結果が出ていると思います。

①炭治郎の夢
夢の中で家族に出会い鬼殺隊の服装から炭売りの服装に変わるシーン。演技も相まって非常に良かったです。炭治朗の家族を思う気持ちと、襲われたときそばにいられずごめんという気持ちが良く伝わってきました。夢のシーンは細かく演出が増されていて泣いてしまった…ここは泣かないと思ってたのに。家族を振り切るシーンも、家族に向かって振り向かない炭次郎と六太の「お兄ちゃん置いて行かないで」からの炭治郎の心はそばにいるという独白でまた泣く…。

②対魘夢戦
正直ちょっと中だるみした感はありましたが、全体は良かったです。列車の屋根での魘夢とのバトルは動く動く。大技生生流転のエフェクトと共に何度も切りかかる炭治郎は非常にカッコよかったです。「俺の家族を侮辱するな!」という叫びも素晴らしい…夢でお父さんが「何のためにお前がいるんだ役立たず」という台詞に湯飲みを投げるという演出がプラスされ見てるこっちの心が痛い…その分首を切ったシーンはダミーだけど爽快感ありました。
列車が奇形になって触手が伸びて襲ってくるのは原作より分かり易いバトルシーンになっていました。ここもやっぱり盛られる笑。
魘夢の死に際も嫌だ嫌だ死にたくないという自分勝手さが非常によく出ていて良かったです。

③煉獄 対 猗窩座
映像的な話も素晴らしいのですが、猗窩座戦はまず台詞が素晴らしい。
「老いることも死ぬことも人間という儚い生き物の美しさだ」
「強さというものは肉体に対してのみ使うものではない」
「俺と君とでは価値基準が違う」
「俺はいかなる理由があろうとも鬼にはならない」
吾峠先生の台詞センスが爆発していると思います。これだけで煉獄が仲間をどう思っていて、どういう生き方をしているか、考え方をしているか端的に表現されている…キャラの魅力を掘り下げる非常に素晴らしい台詞だと思います。

で、バトルですがもう最高。盛りに盛られて物凄く動くバトルシーン…カッコイイし最高の一言。漫画で使ってないよな?という炎の呼吸の型も出てくるし本当にマシマシですね…物凄い。更に煉獄役の日野さんの演技も非常に熱が入っている。公開前インタビューで「演者のそれぞれの演技に非常に気合が入っているので、他の演者も負けじと頑張る相乗効果が生まれていた」と仰られていましたが本当にそうでした。心を燃やしての奥義と破壊殺のぶつかり合い、そして首に刃を食い込ませるシーン。演技とバトルが相まって非常に見ごたえがありました。

④煉獄の散り際
まあ泣きます。ここでも五峠先生の台詞が光る。個人的に非常に好きなのが
「心を燃やせ歯を喰いしばって前を向け」
「君が足を止めて蹲っても時間の流れは止まってくれない 」
「共に寄り添って悲しんではくれない」
という台詞。五峠先生の描きたいものが凝縮されていると感じます。表現も美しいし本当に凄いセンス。

煉獄の見せる最後の笑顔と残される隊員たち。それぞれに煉獄の死を悼みますが、特に炭治郎と伊之助は演技が素晴らしすぎる。自分の無力さと、それでも頑張らねばという心情が良く出ていて、声優さんって本当に凄いなと感じました。

総合的に本当に素晴らしかったです。今後のアニメ展開がどうなるか気になりますが、続く限り必ず追い続けたいと思います。
すいかのたね

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