火

劇場版「鬼滅の刃」無限列車編の火のネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

原作、TVアニメは共に履修済。
原作に至っては本誌で最終回まで読んでいます。
最終回の結果も多少含めたネタバレを含んでいるので注意。






























鬼殺隊とは、剣士とは、柱とは。
鬼滅の刃での「どんなに強くても、一撃を受ければ致命傷になり、その致命傷で死に至る」という現実に主人公の炭治郎諸共叩きつけられるという原作でも人気のあるエピソードです。

特に魘夢という「ヤベェやつ」そのまんまの鬼が、炭治郎達にとって初めて「精神攻撃」を仕掛けてくる搦手の敵で、精神世界と現実世界の場面展開をアニメでどうするのかとか思っていましたが、そこは全く問題ありませんでした。
むしろ色、動き、声がついた事により室内戦での激しい攻防がよりリアルに。
幸福な夢の中がより美しく演出されていました。
炭治郎の下手をすると1話の時よりも幸福に見えるシーンも素晴らしかったし、
善逸と伊之助のコミカルなシーンからのシリアスに切り替わる姿も非常にカッコよかったです。


魘夢の声優の平川さんによる「悪なのに、ただの悪と思わせない狂気と空気、そして外道っぽさ」が素晴らしく、炭治郎役の花江さんの「正義感だけではなく優しさで動く炭治郎が、怒りや悲しみで戦う炭治郎になっていく」お芝居がすごかったです。

そしてなにより心配していた、
上弦の参猗窩座と炎柱煉獄との死闘。
本誌を読んでいた当時は憎くて仕方なかった猗窩座の背景を知った上で見た彼の戦い方や言動の全てが悲しかったです。

脳筋タイプの石田彰を見るのも非常に久しぶりだったのもありますが、
絶対に折れない、弱いところを見せない煉獄を全身全霊で演じた日野さんのお芝居にも鳥肌も涙も止まりませんでした。

煉獄が任務に居なければそれだけで詰んでいたこの無限列車編。
彼を生存させるにはどうすれば良かったのかと映画が終わってからも友人と考えましたが、
無限列車の任務に煉獄が居るというのがあの時点で最善であり、他の柱達が代わりに任務にあたっていたり、複数人乗っていてもむしろ状況や結果が悪かったのだろうという結論で、それが余計に辛くなりました。
最終回まで呼んでいたからこそ、「いずれ私も杏寿郎達のところへ逝く」と言っていた親方様が、あの静かな口調であるにも関わらず、実は腸が煮え繰り返るような気持ちで発していたんだなとも思いましたね。
そして最後に涙を流しながら飛び立った鴉が煉獄の鴉であった事を明確にしたスタッフロールの最後の1カットで本当に心が折れました。
声出して泣いていいなら、きっと私はこの一瞬を選びます。
火