けーすけ

ラーヤと龍の王国のけーすけのレビュー・感想・評価

ラーヤと龍の王国(2020年製作の映画)
4.0
はるかな昔、ドラゴンと人間が平穏に暮らしていたクマンドラという国があった。ある日ドルーンという邪悪な魔物が世界を襲い、人々やドラゴンを次々に石に変えていった。後に伝説となるドラゴン・シスーらの活躍によりドルーンは封じ込められたのであったが、国は5つの部族に分断されてしまった。それから500年、ドラゴンたちが残した“龍の石”を守り続けていたラーヤ達の住む部族はその石の持つ不思議な力をめぐる争いに巻き込まれる事に・・・





バチボコに殴り合っても血の一滴も流れない安心安全のディズニー作品!
ここ数年で3DCGのアニメーション表現は現実世界のような美麗さとなっていますが、それでも作品ごとに進化をしているようで、時折アニメだけど実写映画を観ているかのような感覚に陥ることもある出来栄えでした。



物語の発端は主人公・ラーヤがある人物を信頼し、裏切られた事から始まるのですが、分断された世界やそれぞれの部族が生きていくために行う正義は、まさに我々の世界の縮図。
そう言うと難しそうな印象を受けるかもですが、ストーリー展開はとても単純明快の王道ものなので、子供でも十分に楽しめる内容となっており、大人ももちろん刺さる部分が多々あるかと思います。


500年以上封印されてきた邪悪なドルーンが解き放たれ、人々を石に変えていくさまは、まさに今のコロナ禍のよう。ある部族はドルーンが入ってこられない安全な地を作り繁栄したり、またある部族は襲撃から守り切れず全滅の危機に…と、ワクチンの供給を受けられるかどうかの暗喩のようにも感じられました。


テンポもとてもよく(ちょっと悪く言えば都合がよすぎですが)、サクサク話が進むので気負わず観られます。
登場キャラも流石ディズニーの可愛らしさ。ラーヤが幼い頃から可愛がっている相棒のダンゴムシみたいなキャラのトゥクトゥクもモフモフしてて愛らしい。

伝説の龍であるシスーもこれまたモフモフ。畏怖とか全然感じさせない軽いキャラで人を信じることを大切にしており、それが元でトラブルが起きる事も。

本作では「人を信じる」という事がテーマに掲げられており、ラーヤのように一度ひどく裏切られたような人が、どうすれば周りの人を信じ、そして相手から信じてもらえるかを描いております。

究極論だけど、みんながそういう考えであれば戦争や分断、差別も起きないのにな、と考えさせられる内容となっておりました。



ラーヤの声を演じたのが、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』で不遇なバッシングを受けたローズ役のケリー・マリー・トランというのも面白いところ。ベトナム系アメリカ人女優なんですよね。色んな意味でめちゃめちゃハマっております。

そして龍のシスーの声はオークワフィナが!こちらもアジア系女優。出てきた時に披露する韻を踏むセリフ回しにニヤリとさせられました。



鑑賞前は「メインビジュアルの青い龍とダンゴムシみたいなのがちょっと不気味かも?」とか思ってましたが、観始めてそんな考えがバカげた事だったと思い知った本作、オススメです。


2021/06/05(土) Disney+にて鑑賞
[2021-049]
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