びこえもん

ブータン 山の教室のびこえもんのレビュー・感想・評価

ブータン 山の教室(2019年製作の映画)
4.0
最近他の趣味に傾倒して映画がかなりご無沙汰になっているのですが久々に鑑賞。いずれブータンには行ってみたい(特にタクツァン僧院)と思っているので、中々鑑賞できる機会のないブータン映画が公開されているとあって気分だけでも味わうために観に行ってきました。

まぁタクツァン僧院のような分かりやすいブータン観光スポットは一切出てきませんが、ヒマラヤの高山帯の絶景と、そこに根付いたヤク飼いたちの生活、美しい民謡と、辺境の村でも元気に暮らす子供たちの姿が素晴らしい映画です。

プロットは「首都に暮らす教師が、富士山頂より余裕で高い標高4800mの僻地の学校(なお首都からバスと登山で片道8日)に渋々派遣され、最初は泣き言を言ったりするけど、徐々に村に馴染んでいく」という村の僻地度合いの極端さを除けば割とありがちなもの。ただヒューマンドラマとして良い意味でコテコテにクサくはなく、明示的な説明やわざとらしいBGMに頼らずともカメラワークやカットインなどの映し方や表情でうまく人物の情感を表現していて、かつ主人公の精神的成長をきちんと描きつつ彼の幸福の形を諦めさせはしないという絶妙なところを突いた構成になっているのが良かったです。

ちなみに舞台となっているLunanaという村は実際にブータン北部にあるようで、Googleマップで見る限り本当に周囲に道らしい道はなく、こりゃ確かに片道何日もかかるのも納得。