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ブータン 山の教室のkuuのレビュー・感想・評価

ブータン 山の教室(2019年製作の映画)
3.9
『ブータン 山の教室』
原題Lunana: A Yak in the Classroom.
映倫区分G.
製作年2019年。上映時間110分。

ヒマラヤ山脈の標高4800メートルにある実在の村ルナナを舞台に、都会から来た若い教師と村の子どもたちの交流を描いたブータン映画。
本作が初メガホンとなるブータン出身のパオ・チョニン・ドルジ監督が、村人たちのシンプルながらも尊い暮らしを美しい映像で描き、本当の幸せとは何かを問いかける。

ミュージシャンを夢見る若い教師ウゲンは、ブータンで最も僻地にあるルナナ村の学校へ赴任するよう云い渡される。
1週間以上かけてたどり着いた村には、『勉強したい』と先生の到着を心待ちにする子どもたちがいた。
ウゲンは電気もトイレットペーパーもない土地での生活に戸惑いながらも、村の人々と過ごすうちに自分の居場所を見いだしていく。

1986年に日本との国交が樹立する以前にも、民間の交流や国連を通じた開発援助などの友好関係があったブータン。
個人的には、この国で展開する物語を描いた初めての映画で、この辺境の地の人々の話を聞き、見ることは非常に魅力的だったと云わざるを得ません。
ブータンは、少なくとも公的なレベルでは、とても幸せな国だと云われてるけど、今作品やと、村人や都会人の普通の生活、つまり、彼らが辺り云うほどには幸せではないことが描かれてたかな。
愛、コミュニティライフ、家族、これらはすべて普遍的な表現やし、これまでにも何度も映画化されてきたとは思います。 
しかし、今作品のユニークな設定と文化が、この試みを際立たせててると思いました。
また、今作品は、画期的なものではないけど、非常に楽しく、よくできた映画でした。
また、文字通り、そして感情的に『家』と『追放』の意味を深く追求しえ、驚くほどシンプルやし、『帰属意識』と『憧れ』を見事に表現されてました。
喜びと悲しみがこれほどまでに絶妙なバランスで同居している映画をほとんど見たことがないかな。
メチャ美しいロケーションにありながら、真の美しさは、村人たちの真の温かさ、優しさ、相互尊重、ほんで、一般的な善良さが、教師の穏やかな変化をもたらす描写にあった。
こないなコミュニティが長く続き、我々の多くが、もうどう質問していいかさえわからないような質問に対する答えを持っているかもしれへん。
若い学級委員長のペム・ザムという役柄は素晴らしいキャスティングで、彼女はまさに光り輝いてたなぁ。
今作品は、本当に大切なものを温めてくれる作品と云えます。
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