マリアムさんは、本当にあった事をマリアム本人として演じるのだけど、夫が突然いなくなる事への戸惑いが、本人も、子供たちにもある事が伝わる。彼女を違法だと知りながらも助けた男性に対して、少しずつおしゃれして綺麗になるマリアムを見て、ああ、こうやって人は人生で大きな出来事があったとしても、少しずつ変化して生きていくんだなぁと、強さも感じた。

• #アジアフォーカス福岡国際映画祭

淡々と描くスタイルでいたのに、ふっといきなりカメラが傾くシーンなんかが印象的でした。
常に淡々と冷静な視点で切り取るからこそ、飄々としてるように見えて実の所いっぱいいっぱいの主人公が引き立つのだろうなぁと思いました。

母として、夫がいなくなってしまったとしても家族は守らなければいけない。
彼女の選択(家畜を売る、夫は亡くなったことにして手当を受けれるようにする、協力してくれる男性により気に入ってもらえるようにする…)はどれも行き当たりばったりではあるけれど、その時その時の最善のはずなんです。
しかし、夫からはそのことで咎を受け、彼女自身これからどうしていくのが良いのか分からなくなります。
彼女と家族の生活がこれから上向くことはないし、いつかは行き止まりになります。
そんな八方塞がりの状態に、いつの間にか陥ってしまった主人公…辛さが残るけれど、リアルさが強くって良い映画でした。
さらに、冒頭の夫を探すシーンが、実は初め考えられる時系列と違っていたのでは？というのもミソです。
一発目見た時は「突然いなくなった夫を探す」妻のシーンだと思いました。でも違うんですね。
「妻の元を離れていった夫を探す」シーンなんです。その、ひっくり返し方が上手いなぁと思いました。

実話をもとにしていて、主役を演じたのは本人。
この後の彼女に良いことがあるといいなぁと思いました…。

【アジアフォーカス福岡国際映画祭より】
夫の失踪で窮地に立たされた母親
彼女がとった生きるための選択とは？

実話で主人公は本人が演じている。