喜連川風連

馬ありての喜連川風連のレビュー・感想・評価

馬ありて(2019年製作の映画)
4.0
‪全編白黒映画。
世界で唯一のソリを引く競馬「ばんえい競馬」とそれに関わる牧場主、馬主、馬肉買い受け人の視点から
「馬」を描いたドキュメンタリー。

黒澤明やジョン・フォードいわく
白黒映画において最も美しいのは
馬であると語っていた。
白黒であることで、馬の美しい筋肉が浮かび上がるように感じた。

馬のタテガミ、顔つき、筋肉と流線型のボディ。
生々しい息づかい。
とても美しい。

ただ、その美しさの裏側には悲しい現実がある。
競走馬になれない約9割以上の馬は食肉解体処理場行きとなってしまう。

馬の純粋な瞳と飼い主のやるせない心、人間の絶え間ない食欲がクロスオーバーされるシーンに鳥肌が立った。

普段食べてるモノや風景、
馬を見る目を決定的に変えてしまう映画。

『「馬は賢い」人間の言葉をわかっている
だからモノに話しかけるように話すんじゃなくて、しっかり人間と話すように本気で馬と会話しなきゃだめだ』

平和が保たれている人間社会はあらゆる矛盾の上に成り立った砂上の楼閣なのだろう。

極々当たり前だが、「自然に生かされてる」
当たり前だが思い返すのは難しい。

馬のかわいい瞳が目に焼き付いて離れない。
喜連川風連

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