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今日もどこかで馬は生まれるのcookieのレビュー・感想・評価

4.0
引退後の競走馬にフォーカスしたドキュメンタリー🐎
クラウドファンディングで制作が実現した。

1年間に生産される競走馬は約7000頭。
そのうちJRAに競走馬登録されるのは約5000頭で、それは年間抹消頭数とほぼ同じだそうだ。
競走馬から一旦種馬や乗馬などに用途変更されたら、その後どうなったかは追えないようで、それを調査した統計も無いという。

経済動物として消費されるサラブレッドの末路。彼らへの思いが、引退馬協会や生産者、調教師、馬主など、それぞれの視点で偏りなく語られている。

食肉センターのシーン以降は、涙なくして見られなかった💧

「まだ早いうちから馬を調教して可哀想と言われるが、すぐに怪我をしてそのまま引退するような命の短い競走馬にならないよう、一日でも長く走れる馬にするために厳しく育てる。」という意見や、一年半かけて育てた馬を競売にかけても買い手がつくのが難しい例など、華やかな世界の裏側が紹介される。

養老牧場の「命の責任」の姿勢には頭が下がった。

馬を近くで見たくて競馬場に足を運ぶことがあるが、そこはまさに巨額のお金が動く別世界。
JRAが主催する中央競馬の2018年度の売上は2兆7000億円。国の財源を潤し、競馬場のある地も雇用を含め恩恵を受けている。
規模縮小とか生産頭数制限に向かわないのなら、業界全体の中でJRAがもっと率先してサスティナブルな取組みをするべきだし、馬に癒しをもらっている私にとって目をそらしてはいけない問題だと痛感した。
これはペット産業にも通じること。

本来なら20〜30年生きられる馬の現状を、まずは「知る」ための意義ある作品だった🐴
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