新年一発目劇場視聴映画。
経済動物競走馬の引退後の生活に迫るドキュメンタリー。
正確な数はわからないが、引退し、種牡馬や乗馬としての役目を終えた馬の8割の行方がわからないという。
加えて食肉として8000頭近い馬が殺処分されている。
劇中にもあったが、この事実だけを聞いて、馬だけかわいそうというのもおかしい。
だが、人間のエゴが動物を殺しているのは確か。
ただ、それは豚も牛も同じ。
そもそも現在の馬という生き物自体、人間のエゴによって品種改良され作られてきたものだ。
完全な野生の馬はもう世界で存在しない。
劇中、自分が関わった馬だけでも救おうとする人たちが出てくるが、それも罪滅ぼし・愛着といった人間のエゴでしかなく、どこにも正義は存在しない。
馬を生み出すのも人間。
馬を不幸せにするのも人間。
馬を幸せにできるのも人間。
どれだけの業を背負い我々は生きているのか。
その途方もなさに愕然とした。
劇場で泣いている人も見受けられたが、この映画を決して感動ポルノにしてはいけない。
ただただ、馬がそこに生まれ、馬主に買われ、調教され、賭けられる。
事実があるのみ。
そこに少しでも善意ある人が増えれば・・・そう祈るしかできない自分に無力さを覚えた。
馬の堆肥で新しい経済圏を作ろうとする人たち、大儲けしているJRAがなんとかしろ!糾弾する人たち、生産牧場の傍らで馬を引き取る人たち。
今日もまたどこかで馬は生まれる。