ひろゆき

Share the Painのひろゆきのレビュー・感想・評価

Share the Pain(2019年製作の映画)
3.4
銀幕短評(#547)

「Share the Pain」
2019年、日本。41分。

総合評価 67点。

「お赤飯 炊かなきゃね」母親は 息子にやさしくそういう。

女性とセックスを経験するまえに、すべての男はオトコの職業性交人に オカマ(というのも今や差別用語ですが、つまり肛門性交のことです)を掘られないといけない近未来社会で、高校生のユウキは 愛する彼女を前にどう行動するのか、というはなし。“痛みを分かつ” 法なので、法制の目的は ともすれば独りよがりに暴走しがちな男たちの性行動を抑制し、女性への負担を軽減する、というところにあるようですが。

しかし、ICチップを男の首に埋め込んで通電するなんて野蛮なやり方ではなく、性教育をうまく高度化洗練化させることで、じゅうぶん効果があると思いますよ。いまの性教育は性器のしくみや受精から出産などのメカニズムを教えるにすぎないのでしょう? こころを教えないのでしょう? きっと。

わたしが子供のとき、家には書棚がいくつか並んでおり、その棚の一つに「完全なる結婚」というオランダ医師の書いたベストセラーの性医学本がありました。おさないわたしは、両親の外出を見計らっては、この本と 世界文学全集の「アラビアン ナイト」とを交互に読みふけり、性のめざめを迎えたものでした。

だから、なにも学校のクラスで こと細かなところまで時間をかける必要はなく、過不足のない(立派な装丁の)テキストを作って自習用に配布すれば、それで足りるのではないでしょうか。恋愛、愛情、性欲、男女の性差、LGBT、性交の手順、避妊、胎児の保護、女性(母体)への職業的社会的な配慮、セクハラ、養子縁組などと。このあたりを一連のながれとして若者に納得させないと、社会の無用のひずみが いつまでもギクシャクしてしまう。「82年生まれ、キム・ジヨン」(#508、69点)の不条理が これからの日本でも解決しない。日本の事情は 世界の教育先進国とくらべてどうなのかなあ。

全体にカメラがうまい映画ですが、最後の一連のシーンは きれいに撮れていますね。カット バックの繰り返しで、せつないこころをうまく視覚化している。これはなかなかいいですね。

わたしの見解としては、ついでに女性の “出産のいたみ” を分かつために 野球バット(の太いほう)を突っ込んでもよい気がするのですが、どうでしょうか? まあ、すでに二児をもうけたわたしは免除してくださいね。



(コメントを応酬しました)
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