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評決のkyokoのレビュー・感想・評価

評決(2019年製作の映画)
3.7
「ローサは密告された」のブリランテ・メンドーサがプロデュース。

夫の暴力に耐えかねた妻が起こした訴えに、果たしてこの国は真っ当なお裁きをくだすことができるのか。

泥酔した夫にあやうく殴り殺されそうになるも、ナイフで反撃して娘を連れて逃げ出したジョイは、警察でDV対策室(みたいな名前)のもとに保護される。
実家で即逮捕された夫が、妻と同じ病院で治療を受けててびっくり。会計のときもすぐ後ろにいるし。てか、やっぱり会計しないとダメなのね。
事情聴取がふたり同室にも驚いた。一触即発で妻の言葉に逆上してつかみかかる夫。止める警察。そりゃそーなるでしょうよ。

裁判も同じ、とにかく被害者と加害者の物理的な距離が近く、日本では絶対に考えられないやり方は、所詮フィリピンでの暴力に対する認識はこんなもんだろうと落胆させ、やがて下される結論には落胆を越えて薄ら寒さを覚える。
当人たちにとっては人生を左右する裁判も、終わってしまえば単なる過去の案件のひとつに過ぎない。無造作に積みあげられた書類の束に埋もれて、おそらく二度と開かれることはないんだろう。

そんな中でアメリカナイズされた敏腕弁護士だけが異質の存在だった。
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