高校から10年以上の友達が作った映画なんです。彼女が本当に血肉を削ってこの映画を作ったことを知っているから、旧来の友人の作品としてという視点を抜いてレビューを書くまで、1か月かかってしまった。
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社会人になる前、疑いなく「自分にしか出来ないこと」があると思っていた自分が懐かしく、どうしようもなくもがく主人公が愛おしい。
彼女の一日の大半を費やすコピー仕事も、悪気なく「そんなの誰も読まないから、後でいいよ」と言われる。
この世は誰にでも出来ることで溢れていて、それらのおかげで世界は回っているのに。本当はそれをどうやるかで「自分にしか出来ないこと」に出来るのに。
そう分かっていても、閉じた社会の中でうんざりするほど突き付けられる、たくさんの小さくて大きな暴力を描写するのがとにかく上手い。
その描写の棘があるからこそ、裏返して大胆な設定も救いとしてちゃんと腑に落ちる。
一見可愛い世界観に、監督の豪胆さがよく出ている作品。
何より、本当に主人公が可愛くて推せます。