ゆきむし

神様のいるところのゆきむしのネタバレレビュー・内容・結末

神様のいるところ(2019年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

初めにことばあり。

映画の中で「神」は三たび顕れる。
家出して神待ちする玲の前に現れる男(偽神)は、玲と葵を巡り合わせる。次に、(道教)神の家たる聖天宮で人として現れる拓海は、玲と葵のの先行きのない膠着から玲を解き放つ。では最後に、「言葉」を得て自分の人生を生き始めた玲が再び訪れた聖天宮で聴く神の「声」は、玲を何処に導くのだろうか。
それはもちろん玲の未来であり、映画という言葉で玲に物語を託した監督(#鈴木冴 )であり、現に今、映画を観る我ら観客のもとにだろう。

東京藝術大学大学院の修了作品として制作されたという本作は、冒頭の玲と葵の周りの人物描写が表面的なステレオタイプだったり、神の采配のように(!)部屋も電気もガスさえも全てが揃った空き家(隠れ家)が出現したりと、才能ある?監督が自分のためだけに創っているような若書き・若撮りにみえる部分もある。
(舞台挨拶での)「映画は観客が観ることによって完成する芸術だと思う」という言葉どおり、(だって観客は自ら2時間騙されにくるんだから、)キチンと騙して作品世界に連れて行ってほしい。
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