しちれゆ

走れロムのしちれゆのレビュー・感想・評価

走れロム(2019年製作の映画)
3.5
ベトナムは旧フランス植民地であることから、ひところはきれいな町並みだの可愛いベトナム雑貨だのおしゃれスイーツだのと女子旅で盛り上がっていた記憶。けど、この映画の中のベトナムは恐ろしく汚くて貧しい。

ベトナムには政府公認の宝くじの末尾2桁を予想するデーという闇くじが存在し、胴元が仕切り賭け屋が運営し、末端にはストリートチルドレンの走り屋がいて、走り屋同士が1分1秒でも早く末尾2桁の書かれた紙を配って走ることを競い合う。
本作では主人公ロムが常に疾走するか喧嘩するかしていて、貧民街にはデーに自らの命運を賭ける借金まみれの人々や一攫千金を狙う人々がひしめいている。あまりにも私たち一般日本人の生活とかけ離れているがために、走るロムを見ていても感情移入出来ない。

今回公開された作品はベトナム当局の検閲が入り大幅に削られ手直しさせられたものだというが、手直し後でもこれか!というほどベトナムの闇の部分が描かれている。
ペットボトルを繋げて作られた筏、デーに外れて自殺する老女、入れ子構造の搾取…ただただ別世界を見せられて終わり、ベトナムの社会問題がどうの、などと考えるところまでは到底たどり着けない作品でした。
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