メザシのユージ

だってしょうがないじゃないのメザシのユージのレビュー・感想・評価

4.0
2020年 21本目 ★ ★ ★★「障害のある人が暮らしやすい世界は誰もが暮らしやすい世界」

「だってしょうがないじゃない」を仮設の映画館でみた。仮設の映画館とは、‬ネット配信で映画を観ることで街中のミニシアターを助ける映画配信システム。

‪発達障害で、軽度の知的障害のある61歳で一人暮らしのマコトさんを、親戚で同じく発達障害のある監督が撮影したドキュメンタリー。観てる人を無理やり感動させようとか、発達障害を抱えて生活することの大変な現実を訴えようとかしているわけではない。でもマコトさんの生活を通して様々なことが分かってくるとても良いドキュメンタリー。

映画を観ているうちにマコトさんのことをだんだん理解して、次第に好きになってくる。家を出るときに何度も家の中を確認してしまう、服や石鹸とか物を置くときになかなか位置が決まらない等々、最初は「これは大変そうだ」と思うのだけどマコトさんのことを理解するうちに「まあ、いいか、これがマコトさんなのだから」という気持ちになってくる。

マコトさんの家の庭に生えていた桜の木を切る場面が物凄く悲しかった。亡くなったお母さんと40年間の二人暮らしで様々な思い出もある桜の木だったろうけど、マコトさんの意見や意思を誰も汲んでくれないのが観ていて辛かった。

買い物ヘルパーさん、お掃除ヘルパーさんの存在は知っていたけど、障害のある人の悩みや不安を聞いてくれる傾聴ボランティアの存在を初めて知った。何の問題もなく、平和な日常がずっと続くわけではないのは、障害のある人も健常者も同じ。「幸せになりたい」と願うのは障害のある人も健常者も同じ。「障害のある人が暮らしやすい世界は誰もが暮らしやすい世界」優しい世界になっていきますように。