チッコーネ

ディアスキン 鹿革の殺人鬼のチッコーネのレビュー・感想・評価

3.5
真面目な役を演じていたらかなりダンディな主演のジャン・デュジャルダンのお陰で、意外に楽しく観進められる。
脚本はシュールで荒唐無稽、暴走する主人公の数日間を追う。
深読みする気も起きないが、無能なクセにコントロール・フリークという主人公の性格が、ヒロインへ受け継がれていくラストはどこか暗喩的…、その意味でアデル・エネルは役柄にぴったり。

物語に反し、フランス片田舎を映す背景は美しい。
特にログハウス風で東洋趣味も感じられるヒロインの居室、羽根入りの大きなガラス花瓶が飾られたホテル一室のインテリアなど、美術も素敵。

感激すると「Putain」が出る主人公の屈折、すぐ「負け犬」と罵る些細な言い合いなど、台詞のへそ曲がり具合も独特。