ヒノモト

森のムラブリのヒノモトのレビュー・感想・評価

森のムラブリ(2019年製作の映画)
3.9
森の中を遊動しながら生活しているムラブリと呼ばれる人たちの生活を2年間に渡り追い続けたドキュメンタリー作品。

いろいろな言語を使い分けながらも文字を持たないムラブリの人たちの言語調査を行っている伊藤雄馬のガイドもあって、単純な生態を追いかけるだけではない、他国の文明や文化を受け入れながら、許容していく我々の生活とは異なる個別として由来するアイデンティティーのようなものが確かにあって、貴重な映像であることは感じ取ることができました。

ムラブリの人たちは小さな部族の集合体のようで、離れたところに暮らす他の部族との交流がほとんどないらしく、取材された村の人たちは他の部族のことを「入れ墨をいれた人食い集団だ」という言い伝えを信じ、対立していたりするのですが、映画の終盤、もう1つの集落を訪れることになるのですが、そこではその言い伝え通りなのかが判明する結末には、ちょっと意外であり、文化的慣習の違いを強く感じました。

映画全体としては、常に興味を引きつけるような探究していくようなテーマ性の高い作品ではなく、ムラブリの人たちの日常を通して、自分たちの生活に立ち返って考えを深めてみるような水平思考的な作品だったように思えました。

上映の後、監督と映画に出演している伊藤雄馬さんとのトークがあって、映画で語られていないエピソードが少しだけ聞けて貴重な時間でした。
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