安不二大气

森のムラブリの安不二大气のレビュー・感想・評価

森のムラブリ(2019年製作の映画)
4.1
私たちが遊動民から定住民になったのは8000万年ほど前、これにつれて何を得て、何を失ったのか。
遊動民や遊動民から定住民になるのを拒否した非定住民は、定住民から搾取や差別をされやすい
それは非定住民が所有の概念を持たないから

しかし本編では、ムラブリだけではなく、村の定住民ですら所有の概念をあまり持っていない。そのため、ムラブリが山から村に降りてきて「ただ寝て、米をもらう」ということをお互い当たり前のように行っており、贈与体系の一端を垣間見ることができる。

一方100年ほど前に分裂したというムラブリの人たちはA村~C村同士でお互い「刺青をした人喰い」の虚構で忌み嫌いあっている。

我々が定住社会に移行するにつれて形成してきた「設定を生きる」という社会の原初的なものを見ることもできる。

という宮台真司氏のお話。