kazuki

森のムラブリのkazukiのレビュー・感想・評価

森のムラブリ(2019年製作の映画)
3.9
タイとラオスの狩猟採集民,ムラブリの文化人類学的ドキュメンタリー。

誤解を恐れずいうと、私がこういうドキュメンタリーを観るのはモンド的興味を満たすためだ。
我々は同じ人間でありながら様々な要因によって全く違ったものになりうる。その人間的な多様さを知るのはとても興味深い。

都会に生まれ過ごしてきた私達が〈目の前に無い事〉ばかり考えているのに対し、彼らは〈目の前の事〉ばかり考えている。

字幕がなければ神聖に聴こえる歌は、即興の「おなかがへったよ、食べもの嬉しいな、楽しいな」というお気楽な歌だったという気付きにはコンテクストが産むアンビバレンスを感じる事が出来る。

その他にも、3グループあるムラブリは、100年以上会わないうちに「我々は良いムラブリだが向こう側は悪いムラブリで、怖い刺青を入れ人を殺すんだ」と言っている様子からは、人類史で繰り返されてきた 外界の悪魔化やそれによる集団の維持といった機能の共通性を感じたり。(インディアンが豚を焼いているのを、人を焼いてると勘違いした白人が彼らを悪魔と呼んだり、白人同士でもワインを飲む人々を「人の血を飲む奴らだ」と言ったり、このような例には事欠かず、現在でもピザゲート事件などが起きてしまうのだから笑えない)

撮影中に監督(金子遊)がムラブリを研究する言語学者(伊藤雄馬)に偶然出会ったり、ラオスのムラブリにも偶然出会ってしまう辺りも、アドベンチャーもののようで単純に楽しい。

youtubeで検索すると伊藤雄馬さんのインタビュー等も多くあるので、サブテキストとしてオススメ。

【最近は、見る映画全てについて、鑑賞直後に書いていこうと思っていますのでフォロー頂けると幸いです。noteでは、より深堀りした記事を書いております。良かったら覗いてみて下さい。】

Twitter: https://twitter.com/kazukihayashi1
Note: https://note.com/hk427eb/
kazuki

kazuki