天才は必要に迫られて生まれた？！
「シラノ・ド・ベルジュラック」。
恋文の代筆から始まる悲しくも美しい三角関係と、豪快で心優しく騎士道精神あふれる剣豪詩人シラノを描いた恋愛非喜劇。
世界中でいまなお演劇や映画として上演され続ける、フランス演劇史上もっとも成功した古典戯曲。
その誕生秘話を新たな物語としてよみがえらせた映画。
本編に勝るとも劣らないサイドストーリー！
あの名シーン、あの名セリフはここで生まれたのか！みんなに愛されるキャラクター「シラノ」はこうして作られたのか！と、感激せずにいられない。
（どこまでが実話なんだろうか？）
単なる裏話で終わらず、フランスらしいロマンス、反骨精神、芸術愛を盛り込んで、ひとつの作品を作り上げていく制作者と周囲の人々の熱いドラマに。
わたしたち観客は、現在「シラノ〜」が時代を超えて高く評価されていることを知ったうえで観ているわけだけど…
執筆時間は足りず、トラブル続出のつぎはぎ状態、いろんな人の助けを借りてひねりだされたこの作品が、100年以上の時を超えて世界で愛され続けることになろうとは…
夢にも思わなかった人たち。あるいはそれを確信していた人たち。
これは、作者エドモン・ロスタンの伝記ではなく、名作誕生に携わったすべての人たち、シラノに魂を吹き込んだすべての人たちを讃える映画。
素晴らしい作品をありがとう、あなたたちがいなかったら「シラノ〜」は生まれなかった、と。
日本ではシラノと言ってもあまり馴染みがないだろうけど、フランスではこの映画、大喝采だったんじゃないかな。
直前に映画版を再鑑賞しておいて本当によかった。
個人的には1990年版の映画「シラノ・ド・ベルジュラック」（ジェラール・ドパルデュー主演）がお勧め。
エンドロールは涙なしには観られない。
