Hina

シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!のHinaのレビュー・感想・評価

3.8
「物語」は満足した愛ではなく、願望の恋に秘められている。なんて美しい感覚🥰
日本語で「愛」と「恋」が別の言葉として残っているのも、ロスタンと同じ感覚なのかもとか思った:D

キスやセックスや結婚は、物語の一つの終わり。そこに至るまでの想いが、劇を生み出す。
現代人は、ベッドに行くまでの過程をもっと大切にしなければもったいないかもと気付かされた:_(

ロスタンとジャンヌの言葉のやり取りには、キスやタッチだけでは到底辿り着けない心の繋がりがある。
言葉を学ぶことは、人間であることの特権のはずなのに、レオはそれを軽んじてるから、愛する人に碌に愛を伝えられない木偶の坊。
ただ簡単にキスを求める獣のような序盤のレオは、まさに現代人そのものだと思った。:D

『シラノ・ド・ベルジュラック』が成功したのは、ロズモンドの愛とジャンヌへの恋が同じ時にあって、その違いの美しさに、ロスタンが気づけたからなのかもしれない。
もちろん愛に辿り着くには、前提に恋があって、ジャンヌがいたから、ロズモンドとの昔の恋も思い出せたんだろう𐀪𐁑

『シラノ・ド・ベルジュラック』という演劇は主人公が最後に死んでしまうトラジェディだけれど、この映画自体はコメディとして構成されていて、作り手の映画的バランス感覚に脱帽するなぁ🤔
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