ちろる

カット/オフのちろるのレビュー・感想・評価

カット/オフ(2018年製作の映画)
3.6
ドイツの作家:セバスチャン・フィツェックによるスリラー小説「Abgeschnitten」の、本国ドイツによる映画化。

最後のシーンを除き、たったの24時間の出来事を濃密な台詞とシーンの連続によって描いたサスペンスだ。

検死官のポールは、顎が砕かれた女性の遺体を検視解剖する中で、頭部に無理やり詰め込まれた小さなカプセルを見つける。
カプセル中から紙切れが出てきて、それを顕微鏡で覗くと、そこには、ポールの娘のハンナの名前と電話番号が書かれていた。

最愛の一人娘を誘拐されたポールが、犯人の正体を突き止めて、囚われの身となっている娘を助け出すべく奔走する様子を緊張感たっぷりに描いた本作の特徴は、たまたま主人公ポールの協力者となった若い女性リンダが、携帯電話越しの指示に従って遺体の解剖を行い、遺体の内部に隠されている事件解決のヒントを入手しながら捜査が進展していく点にある。
かなりグロい展開になるわけですが、この協力してくれるリンダが偉すぎる。
もしも自分がリンダの立場だったら?人の命がかかってるとはいえ、出来るかどうか分からない。
逃げてしまうかもしれない。
でもこのリンダはとても強い。

携帯電話でしか互いに確認できない究極の状態で所謂「リモート解剖」を行うのだ。
普通の人にこれはエグい、エグすぎる・・・
けど、学校のカエルの解剖で男の子が貧血で倒れても女の子は意外に平気みたいだよ説があるように、いざとなれば責任感を持って解剖でも何でもやってしまうこの根性がこの物語を作り上げてるといっても過言ではない。
リアルすぎる解剖シーンがかなり長い間あり、『ジェーン・ドゥの解剖』で大変な思いをしたら私にとってはチャレンジングな内容でしたが、解剖した遺体から自分の娘が誘拐されることが分かるところから始まるとんでもない謎多き掴みのおかげで、ハラハラドキドキしながらもラストまでなんとか鑑賞できた。

大胆な設定ゆえに、もちろんツッコミどころも多いのだが、エンタメサスペンススリラーとしては十分楽しめる作品だったと思う。
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