荒川自転車乃介

ドロステのはてで僕らの荒川自転車乃介のレビュー・感想・評価

ドロステのはてで僕ら(2019年製作の映画)
4.2
タイムマシンは出てこないけど、タイムパラドックスを使ったSF作品。
非常に面白い。観る価値のある娯楽作。時間が短いのもいい。

藤子・F・不二雄さんは、SFストーリーを「少し不思議なストーリー」と定義していたけど、この映画もそんな感じ。日常に少し不思議な現象が現れて、それがもとで予想外な方向にストーリーが展開していく。

一つのSF的なアイデアは誰でも思いつきやすい。そこから、どう発展させていくかは、脚本家やプロデューサーの努力や能力だと思う。
この作品はワンアイデアを膨らませ、楽しませる作品にすることに成功している。

制作陣は藤子F先生の作品にヒントをもらったのかもしれない。映画のセリフでも藤子F先生の名前や短編集に触れているし。てんとう虫コミックス『ドラえもん』12巻の「正義の味方セルフ仮面」などに少し似ているし、タイムパトロールが出てくるのも、藤子F先生作品を想起させる。しかし、これはあくまでオリジナル作品だ。
藤子F先生の作品に触発されてこの作品ができたのなら、泉下の藤子F先生も喜んでいるのではないか。