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ドロステのはてで僕らのpapuaのレビュー・感想・評価

ドロステのはてで僕ら(2019年製作の映画)
3.3
ドロステ効果(=合わせ鏡のように、互いに映り込んだ映像が無限に続いていく状態)をストーリーに組み込んだ意欲作。

あるカフェにあるTVと、そのオーナーが住む自室のモニターが2分差で繋がり、TVとモニターを向かい合わせたことで、2分、4分、6分、つまりちょっと先の未来を知ることが可能になります。

そのため同じセリフや動きを違った角度で何度も見ることになるという、極めて不思議な映画体験をすることができる作品に仕上がっています。

まるでワンカットで撮影したかのような映像も秀逸ですし、同じセリフが何度も使われるにも関わらず、それが効果的に活きている脚本は素晴らしいの一言。

そして未来を知ることで、登場人物たちにはちょっとした変化が訪れ、その影響で小さい事件や大きな事件が起こります。

ですが、その事件自体には、観客をグッと惹きつけるような魅力が備わっていないのがちょっと残念なところ。

この設定で変にドラマチックなストーリーを盛り込まないのはヨーロッパ企画らしさなんでしょうが、アイデアだけが先行された映画になっているのは、ちょっともったいないのかなぁと思ったり思わなかったり。

「TENET」に引けを取らないアイデア、クリストファー・ノーランもビックリするような幾重にも重なるような素晴らしい脚本なので、もう少しドラマ性があったら、世界的な名作になったのではないかと思わずにはいられません。

まぁ、大袈裟なストーリーにしなかったのが、逆に日本っぽいというか、良さであるとは思うのですが…個人的には惜しいなぁと思ってしまった作品でした。

それでも一見の価値アリなので、未見の方は是非!
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