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ドロステのはてで僕らのQTakaのレビュー・感想・評価

ドロステのはてで僕ら(2019年製作の映画)
4.1
それは、こうして映像になって初めて存在し得る物語だ。
「説明なんていらない」(だって、理解できないから)
だから、この映画は、尊いし、面白い。
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映画の中で、一番好きなシーンは?
冒頭の街並みから、物語の舞台である喫茶店へ入って行く映像。
お隣の床屋さんの前で朝倉あきさんの横をかすめて、喫茶店のマスターを追うように入って行くシーン。
何かが始まろうとする、この冒頭のシーンがもうワクワクさせる。
この冒頭のカットは、監督の案で、「映画は映画らしく始まる」って事だったそうだ。ん、映画っぽい。
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メイキングや、パンフレットのコメントを読むと、出演者のほとんどが脚本では全く理解できず、読み合わせの現場でも混乱し、階層構造の時間表現を提示されるも、なお分からず…という事だったらしい。
まぁ、そうだろうね。
キャッチコピーの「時間に殴られる」は、この混乱の事か。
映像化され、ストーリーを追って観られる私たちは、そこが面白い。
巧い事やったな!という感想だ。
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キャストは、おなじみのヨーロッパ企画の方々。
本多さんと永野さんがでてくると、もうそれはド派手なコメディー色に染まる。
難解な時間軸もぶっ飛んじゃうそのキャラクターが凄い。
このお二人は、名作映画「サマータイムマシン・ブルース」の印象も有って、このストーリーに妙にマッチする。
そして、ヒロイン朝倉さんの凛とした姿が、このどたばた劇を引き締める。
ということで、なんとも凄い物語でした。
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主題歌は、”バレーボウイズ”。
彼らは、この前にもタイムリープ映画の主題歌を歌っていた。
『下鴨ボーイズドントクライ』(篠田知典監督2018年)。
どうも、時間旅行が好きなバンドらしい?
時間旅行で疲れた頭をエンドロールのBGMで優しく解きほぐしてくれる。
京都は、映画も音楽もみんな揃っちゃう人材の宝庫なんですね。
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この映画をクラウドファウンディングで見つけて支援した。
ヨーロッパ企画という事での支援だったけど、間違いなかった。
映画を作るって事は大変な事なのだと分かってくると、こういう企画を応援せずにいられない。
それは、もちろん製作者達の為でも有るけど、結局は自分のためなんだ。
なんせ、こうして最高の体験を得られるのだからね。
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