空海花

カラー・アウト・オブ・スペース 遭遇の空海花のレビュー・感想・評価

3.8
監督リチャード・スタンリー
脚本リチャード・スタンリー、スカーレット・アマリス
原作はH・P・ラヴクラフト『宇宙からの色』または『異次元の色彩』“Color Out of Space”
ニコラス・ケイジ主演のSFホラー
製作にはイライジャ・ウッドも。

神秘的で美しい景色が、不穏な旋律に包まれるオープニング。
娘のラヴィニアが呪術的な儀式をしているところに
水文学者の黒人男性ウォード・フィリップスがやって来る。

閑静な田舎へ移住し、穏やかな暮らしを始めようとするガードナー一家。
突如前庭に隕石が衝突し、異変が始まっていく。

徐々に浸食していくような怪奇現象。
その中で徐々に狂っていくニコケイと
ストーリーとの融合。
アルパカへのロマンがあったのに…🦙
じわじわと、だが盛り沢山に巻き起こる異変。
スラムダンクはやり過ぎではないか(笑)🍅

家族は妻想いだったり、母想いだったり
ちょっと変だけれど優しいところもあるなと思わせておいて
それが恐怖が浸食するにつれ、どんどんズレまくっていくところが良い。
ブツンブツンと切り離されていく感じ。

グチャドロで発想も気持ち悪いところもあるけれど
思っていたよりは少なめ。
最初からだが、映像は美的な面もあり
クライマックスの表現の異様さと美しさには驚いた。
鮮やかなトカゲ🦎植物🌺カマキリ
グロを期待していたら物足りないかもしれないが、私的にはちょうど良かった。
極彩色の悪夢と災厄、
白い灰色の世界は一見の価値あり。
+狂ったニコケイが好きな方には迷わずすすめたい。



以下ネタバレ含むこじつけです(笑)



水文学者の彼の名前は原作者ハワード・フィリップス・ラヴクラフトから。
ラヴィニアの名は同著『ダンウィッチの怪』の双子の母親から。
“ネクロノミコン”やアルジャーノン・ブラックウッド『柳』の本も登場。
ラヴクラフトは『柳』を読んでから影響を受けるようになったとか。
アーカム、ミスカトニックもおなじみ。

宇宙からやってきたそれ。
隕石はすぐに無くなる。
とにかくそれは“色”なのだ。
この映画ではそれが“マゼンタ”で見事に表現されている。
(と、このマゼンタにフォロワーさんのレビューから思いだしたことがあり、
そんなに関係なさそうですが
ちょっと逸れて書いてみます🙇‍♀)

ニュートンの虹の7色は
赤、橙、黄、緑、青、藍、紫
マゼンタはカラーセラピーでは紫色の向こう側にある色で
全てを超えた色と象徴される。
ちょっと跳んでみて、オーラやチャクラに当てはめると
赤が脚から始まり、頭頂が紫、マゼンタは更にその頭の上。身体の外だ。
だから“宇宙からの色”とも解釈される。
セラピー的には“宇宙からの愛”と捉えられるが
この映画では、愛な訳がない。
彼らは容赦はないし、善も悪もない。
きっとこの色は人工色、自然界の中に“見えざる色”ということなんだろうけれど、これを思い出して、宇宙からの色ってまんまだなと思った。
家族のズレとも少し繋がる。
家族を思ってやっているようで、アルパカを連れてくる。
家族はまぁ見過ごしているが、娘には反発がうかがえる。
押しつけの愛、父のどこから来たのか
よくわからないところからくるそれはちょっと似ている。
カラーセラピーを出してこなくても、そこは原作にもない面白いところ。
(なので私的こじつけかなと笑)
あとマゼンタは怖い色ではなくちゃんと良い意味もあります。

娘の設定や行動がどう関わってくるのかなと思っていたが
それをもってしてもここではかなわないということか、何か足りなかったのか。
クトゥルフのエルダーサイン。
オマージュか次回作への伏線か🤔
次回作どうなるのかな。。


2021レビュー#096
2021鑑賞No.128
空海花

空海花