ひのらんげ

映像研には手を出すな!のひのらんげのレビュー・感想・評価

映像研には手を出すな!(2020年製作の映画)
3.5
すべてはイマジナリーの世界に実在する

芝浜高校 の生徒会(會)は軍隊級に厳しい。生徒会長の「道頓堀」は、部活動が429の部と81の同好会に細分化され、日々発生と分裂をくり返す現状を打破するため、一見民主的ではあるが、独裁的に統廃合を進めようとしている。
そんな芝浜高校に入学した「浅草」氏(絵が上手で想像力豊か、極度の人見知り)、「金森」氏(親分肌)、「水崎」氏(カリスマ読者モデル。アニメ好きだが両親にアニメにかかわることを禁止されている)。

3人は意気投合し、アニメを作ることにしたが、水崎は両親の強い意向でアニメに関わることができない。そこで3人は映像研究同好会=「映像研」を新たに立ち上げる。金森はこの映像研で「合法的に」アニメを作るためのありとあらゆる知恵を絞る。

アニメ作成の活動報告を許さない大・生徒會。映像研はアニメ研究部との競合、重複違反の罪で執拗に統合を強いられる。

家の方針でアニメが禁止された水崎。映像研はアニ研との部活重複違反をかいくぐり、アニメを完成させらせるのか。

頼りない顧問、怪しい動きをすぐに察知する警備部、ロボット研究部、すぐに身代わりになろうとする身代わり部、電話よりも早く連絡を伝える伝令部。勝手に小さい人工台風を作ってしまう気象部。

それぞれの部が入り乱れ、作品発表当日を迎える。はたして今やパブリック・エネミー扱いとなった映像研はアニメを完成させ、上映することができるのか。

映像研に手を出したものはどうなるのか。青春の文化祭の幕が開ける。

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モノづくりのひとり合宿でこれを観た。
浅草氏は「手間を惜しめば負の遺産が出来上がってしまって皆が敵になる」という。その気持ちはちょっとわかります。

何かを作るとき、その成果物は(間違いなく)締め切りがこれを作る。完成なんてありえないと思う。だからクリエイターはこれをどこかで許容する才能、または「完成」だと言ってくれる人が必要。

私も納品直前になって最初からやり直したくなったことは数知れず。従って間違いなく私はめんどくせー人間です。今思うと、昔はとんでもない迷惑をかけていました。笑。ちょっと線がずれてもいいような仕事に対して完璧に線を合わせたり。思い出すと恥ずかしい。

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この映画はちょっと変わった人たちを描いているのだと思うけど、このような人々が日本を作る。素晴らしいこだわりは表面には出てこない。かといって中身でもない。

すべてはイマジナリーの世界に実在する。

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金森の言う「問題が(を)感情で解決されるのが一番キライ」という言葉、おおむね言いたいことはわかるけど、所詮人間なんて全部全てまるっと感情で動いている。理性ですら感情だと思う。でも、金森さん、言いたいことはわかりました。言葉にできませんが私もその意味では同感です。

あと、アニメや映像制作物にリアルを追い求めることについては難しい問題ですね。アニメを現実に寄せれば究極には現実になるわけで、これはどうかと思う。一方であまりに現実離れすれば突拍子もなさすぎるし、実在の場所を舞台にすれば、時空を超えたリアルに触れられることで人気が出る。

映像にリアルを追い求める意味を考える。

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好きなワード「そっくりですよ」と「ハンコを押す紙です」
ひのらんげ

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