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シャドウプレイのクリームのレビュー・感想・評価

シャドウプレイ(2018年製作の映画)
3.8
2013年に広州市で実際に起きた騒乱や汚職事件を背景に描いたサスペンス。エンドロールで当時の写真が組み込まれ、かなり近い状態を再現していたのが解る。荒廃した建物や瓦礫の山に当時の中国の様子が伺えて興味深かったです。少し複雑だけど楽しめました。

中国·広州。都市再開発計画に反対する住人達の暴動のさなか、市当局の再開発事業責任者タンが謎の死をとげる。偶然、現場に居合わせた刑事ヤンは、調査を開始。だが何者かの謀略でスキャンダルに巻き込まれる。その任を解かれ、香港に逃れるヤンだが、真相を探るべく、秘密裏に動いていた。



ネタバレ↓



亡くなったタンには、妻リンと娘ヌオがいた。タンと組んで開発事業を行っていたのは、ジャン。夫婦とジャンは、24年前に出会い、リンとジャンは、付き合っていたが、ジャンは既婚者。リンはタンと結婚。タンは官僚の父の恩恵を受け役人として出世しヌオが生まれた。タンによるDVでボロボロになったリンは精神科の施設に収容される。 ジャンは台湾でホステスのアユンと出逢い2人で起業した会社が成功。リンが精神病院から退院するとタン、ジャン、アユンの4人は暫く順調にビジネスで成功して行くが、ある日アユンが消えた。
かつて刑事だったヤンの父は、失踪したアユンの捜査中に事故で心身に障害を負った。
ヤンが捜査に執着したのは、父の事故の真相を知りたかったから。結果的に、父を陥れたのはジャンだった。
冒頭の河川敷で見つかった焼死体はアユンだった。アユンが会社の秘密情報を盗み出し公表するとジャンを脅した。ジャンの命令でリンがアユンを探し車の中で揉み合い殺してしまった。ジャンが河川敷でアユンを燃やしたのだった。
ヤンはジャンを追い詰め、遂に確保、リンも娘に責められ、夫タンの殺害を自供。リンは自殺未遂を起こし警察に確保された。
しかし、タンが殺された時、ジャンとリンは空港にいた。後のビデオ解析で、タンを殺したのは変装したヌオだったと解った。ヌオもタンのDVの被害者だった。
ヌオは逮捕され、ジャン達の汚職も明らかになり不動産会社は破産となった。

中国の過渡期を背景に3組の男女の運命を描いているのだけど、広州、香港、台湾と移動し、1989年、2004年、2013年を往き来するので、中々複雑でした。後半、畳み掛ける様に真相が解って行くので楽しく、後味は良かったです。発展して行く中、取り残された広州市の「都会の村」の風景は再開発による立ち退きと賠償金問題を色濃く映し出す絶景でした。ロウ·イエ監督は、こう言う風景を映画で残したかったのだろうと思う。興味深い作品でした。
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