横川百子

辰巳の横川百子のレビュー・感想・評価

辰巳(2023年製作の映画)
4.0
映画史に残る大傑作かどうかはわかんないけど、2024年を語る上では今後必ずタイトルが挙がる事になるであろう傑作!!

勿論日本映画内という括りではなく、
世界基準で!です。

この作品には「教訓」も「同時代性」も「思想」も「哲学」も「主題(テーマ)」も一切ございません!

ただあるのは…
監督が好きなジャンルを好きなスタイルでただただ撮りたいという「打算の無い清さ」とあまりにも映画的な顔、というより映画的な「貌」の男達と女。そして日本映画離れした「画力(えぢから)」「構図」「色味(カラコレ)」「ロケーション」!!
この不安定な情勢や暗澹たる深刻な諸問題渦巻く世界的視座には一切目もくれず半グレに毛の生えたただのそこら辺の「輩」がするカネにまつわる痴話げんかだけで構成しきった脚本(敢えて付け加えると、大傑作と言い切れないのはこの脚本自体の完成度の若干の弱さ故か…)!だけです。

前作観た時も思ったけどほんとこの監督がキャスティングする役者さん達の顔選びがとにかく私の考える理想の映画的な顔とドンピシャ一致で、鳥肌立つくらいです。ナマっぽい一歩間違ったら素人クサくなる手前ギリギリのリアル感ある相貌と台詞回し、最高で絶妙です。

めざまし土曜日の芸能コーナーで見かけそうな、公開初日舞台挨拶で平安時代の公家みたいな顔で中身の無いコメントばかりして(平安時代の公家を実際知らんけど…)、妙に色白(最近BTSや羽生結弦みたいな顔多くない?関係ないけど)、デートで食事しながら会話したら15分位で中身ペラっペラっなのが透けてみえそうなチョケたアイドルや俳優達が主演の日本映画の製作費の二割くらいだけでも、こういう作品を創る製作費に回してくれれば日本映画にも少しは未来があるのになぁー…(別に誰って事ないけどイメージね、イメージ)。

やっぱり一段レベルが違う作品は予告編だけでもどこか別次元のニオイみたいなものを醸し出しているという確信が生まれました(本作はなんとなく観た予告編が傑作の予感ビンビンで初日に劇場へ出向いたため)。

なんかクズ達の抗争物としてのエンタメ度としては北野映画の方が若干勝るけれど、総合点とゆーか映画的偏差値としては本作の方が上だし、リアル度で言うと圧倒的文句なしに本作の方が上です。

傑作!!