MrOwl

辰巳のMrOwlのレビュー・感想・評価

辰巳(2023年製作の映画)
4.0
面白かったです。俳優さん達の面構え、演技が◎でした。
哀愁漂うジャパニーズノワール。良いですね。
整備工場、漁港、廃車場、人の少ない採掘場、うらぶれた中華料理店。
折り畳みナイフ。布が巻き付けられたライフル。銃身の短いリボルバー。
髪型、服装、アクセサリー、などその筋の人に特徴的な人物造形もリアリティ抜群です。
演じる俳優さんも、面構えが最高に良い。
辰巳を演じる遠藤雄弥さんは、窪田洋介さんや岡田准一さんのような雰囲気があり、
裏稼業の中でも、更に特殊な仕事を担当しているのですが、
眼光鋭い面構えながら、どこか狂気の領域にまで振り切っていない、
ある意味お人好しの感情がある感じが良かったです。
一方で、倉本朋幸さん演じた竜二は、狂気の領域にどっぷり浸かっている、
いわゆるネジが一本ぶっ飛んでる感じが良かったです。
この竜二というキャラクターが居ることで、観ている人は辰巳に感情移入しやすくなる、という効果も出ていますね。
竜二と松本亮さん演じる武が居ることで、ストーリーを通じて、緊張感、緊迫感が強調されています。
凄く良い存在感でした。
もう一人の主人公となる葵を演じた森田想さんも良かったです。
姉の京子役の龜田七海さんと姉妹となりますが、これが絶妙のキャスティングですね。
龜田七海さんは、確かにお姉さんの雰囲気があり、森田想さんは妹の雰囲気があるんです。
そして個人的には、後藤剛範さん演じる後藤が好きです。
『ヒメアノ〜ル』や『騙し絵の牙』にも出演しているので、観たことある、という人も多いかも。
後藤はいかつい体格、鋭い眼光で近づきにくい雰囲気が漂っていますが、どちらかというと打算的で、交渉ができる相手です。辰巳とのやり取りや葵へ掛ける言葉などからも、ある程度人望がありそう、という人柄も伝わってくるのが良かったです。魅力的なキャラクターでした。
良い映画観たな、と感じられる作品でした。
MrOwl

MrOwl