カイザーソゼ

辰巳のカイザーソゼのレビュー・感想・評価

辰巳(2023年製作の映画)
4.5
いやはや、名作ノワール!!

まず、日本というより、アジアっぽさがすごくある。
どこにあるんだこのロケ地という、都会感/日本の地方感のなさ。
映画全体の色味も含めて、すごくアジア味あふれるところが面白い。
なんか、ジョニー・トーのエグザイルを思い出しちゃったね!途中の決闘前夜やその舞台なんかはなぜか。登場人物が本当に関係者しかほぼいないというのもすごい近いものを感じました。エグザイル的!

主役含め出演陣の放つオーラと迫力も素晴らしい。
全体的な説明は足りていないが、それぞれがバックグラウンド/文脈をしっかり演技で滲み出している気がしてセリフ以外の情報量を豊富に受け取れたと思う。そこも好きがあまりなく楽しめて素晴らしかった。
主人公辰巳の腕は立つし根本で生真面目なところ。
葵の向こうみずな、直球しか知らずギリギリで生きているところ。気迫よかった
後藤の出荷直前の牛なところ。
兄貴の、理性的である一方で極めて危ういバランスで虚空を見つめているところ
竜二のどうしようもなく、殺しに倒錯してしまっているところ(もうこの狂い方というか、怪演ですね、素晴らしかった)
どれもが、役と出演者が本当に密になっていて余白が全然ないところに、作品全体の気迫も感じられ圧倒される!

自動車整備を葵がやっていること、港で漁業関係の仕事をしているヤクザたち、そうした設定にも意味がある。車を直し、その車を受け継いでいくというのも良かった。

まあ、欲を言えばもっと死体解体のところは見せてくれても面白いのに〜とか、もっと葵含めて全員死亡シナリオもあろうかと思うのですが、大量殺戮ではない、それぞれが大事な存在でそれが欠けていくことでバランスを失っていくという展開においてはそれもそうか〜という具合。

とにかく、面白かった!名作名作!

上海小吃もロケ地に使われてて泣けた!