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ようこそ映画音響の世界へのhasseのレビュー・感想・評価

ようこそ映画音響の世界へ(2019年製作の映画)
3.8
○「映画の音は錯覚のアートだ」(ベン・ハート)

映画とは、映像(視覚)と音楽/音響(聴覚)の芸術であることを改めて思い返させてくれた良作。前半は映画音響の歴史、後半は音響の仕事の中身の話。
音響はただの「効果音」ではなくて、ショットの状況や感情を伝えるひとつの表現技法である。

・トーキーの発明で、防音スタジオや録音機材の整備が必要に
・1933年『キングコング』で虎やライオンの鳴き声をミックス&逆再生して怪物の鳴き声を作る革新的なアイデアを採用したが、多くの映画会社から重要視されず一般化しなかった
・1960年頃まで音響の役割は、映画会社から過小評価されてきた。スタジオごとでテンプレートの音響を使用していた
・1970年代以降、ルーカス、スピルバーグ、キューブリック、コッポラ、ストライサンドらの作品で優秀な音響スタッフが独創的な音を作り、音響の重要性が認知されていった(特にルーカス、コッポラとアメリカン・ゾエトロープを設立したウォルター・マーチの功績)

音フェチの私は、普段から「この映画の音いいなあ」と思うほうではあるが、スター・ウォーズとか、好きな要因の半分くらいは音響なんじゃないかって気もしてきた。

ベースはアメリカの映画史だったが、ヨーロッパもほぼ同じ感じなんだろうか。
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