荒川自転車乃介

白頭山大噴火の荒川自転車乃介のレビュー・感想・評価

白頭山大噴火(2019年製作の映画)
3.5
火山の大噴火を避けるために、韓国の軍人、北朝鮮人の得体の知れぬスパイ、アメリカ帰りの火山学者らが、北朝鮮と中国の国境にある白頭山の地下で核を爆発させようとする話。
地震の映像や、カーアクションはハリウッド並み で、よくできているし、イ・ビョンホンの斜に構えたスパイの演技も上手い。
しかし、今一つ物足りない。
ジャンルは違うが「新感染 ファイナルエクスプレス」を観たときのような感動はなかった。

人間をもっと深く描ければよかったのではないか。
北朝鮮のスパイは、もっと屈折した思いを持っていていいだろうし、マ・ドンソクを起用したのに、火山学者のキャラクターも弱い。何度も政府に警告したのに無視されていたという過去があるのだから、それがもっと感情に出て、ストーリーに影響を与えても良かった。
主人公も、ただの軽い人みたいなキャラクターだったが、後半はもっともっと、しっかりした面を見せれば面白くなっただろう。

厳しめに書いてしまったが、映画評論家の春日太一が書いた映画評(日本経済新聞掲載)を読んで期待値を上げてしまったせいもある。
楽しめる娯楽作には仕上がっている。