滝和也

宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 前章 -TAKE OFF-の滝和也のレビュー・感想・評価

3.9
誰が為に戦う…
義を持って人と為す。
その尊厳と命を賭して。

再び人の船は征く!

新たなる勇士を加え、
今ヤマト艦隊発進す!

「宇宙戦艦ヤマト2205 
 新たなる旅立ち 前章」

宇宙戦艦ヤマトリブート最新作!遂に新たなる旅立ちの登場ですね。彗星帝国ガトランティス戦役を乗り越えた地球、ガミラス。時間断層と引き換えに高次元宇宙より帰還したヤマトと古代、森雪。そしてデスラー…。

デスラー艦隊は遂に新たな故郷となるガルマン星を発見した。青き肌、青き血を持つ同族が住むその星は巨大な星間国家ボラー連邦に虐げられた植民惑星だった。交渉虚しく、戦闘に突入し惑星を開放したデスラーだったが…その前にデザリアムの魔の手がガミラス、イスカンダルへと迫る。古代を新艦長に迎えヤマトは新乗組員を訓練しながら、イスカンダル、ガミラスへとの親善航海のさなかにあった…。

美しい。ヤマトにあった誰がために命と尊厳を賭して戦う姿の美しさが帰ってきました。前作の様な複雑さ、主義主張ばかりが先に走り、ヤマトとしての熱さを消してしまう展開でなく、シンプルにその美しき世界が描かれています。

ただ…それのメインになるのは、デスラー。アベルト・デスラー。ガミラスの嘗ての総統であり、ガミラスの命運を握る男。嘗て総統の椅子を追われた男は星としての寿命を終えるガミラスの救世主として復権しています。そのデスラーがガミラス臣民と盟主であるイスカンダルを命を賭して救おうとする姿がより克明に描かれていきます。そのデスラー艦隊の余りに泥臭くカッコ良さに涙が…(T_T)

今作では、よりドラマ部分で緻密さが元作より増しています。ヤマト3で登場したボラー連邦(ソビエトですわ…これ)が早々に登場。ガミラスと星間戦争一歩手前であり、地球はガミラスと安保条約を結びながら平和、人道主義を掲げ、政治的に微妙な立場になる設定であり、そこからドラマが生み出されます。

また同じくヤマト3から土門が新乗組員として登場。新たな設定から古代を思わせるキャラとして新生してます。また太助を中心とした新メンバーも中々の活躍ですし、彼らに古代の放つあの言葉は爆笑ものでした(^^)

またデザリアムがイスカンダルを何故狙うのか、イスカンダルのさらなる秘密とは、デザリアムとは何かと次々に伏線が投下されていきます。

ただ…戦闘シーンがヤマト全くなし。元作のあの名シーンの直前で終わりますからね…仕方ない。ただその手前のデスラー機雷のシーンは元に比べ、外連味が全く足りないのがやや心配点。戦闘シーンの細かな作画は確かに元作を超えてくるのですが、どうも前作から、変えてはいけない所を変えてきたり端折る外連味の無さが気になりますからね…後編が大戦闘が予測されるだけに心配です。

ただ…シンプルに大事なモノを守るために命を賭して戦うと言うヤマトらしさ、その圧倒的なカタルシスは前半部から感じられました。前作の様にこねくりまわすこと無く、このままストレートに行ってほしいですね(^^)
滝和也

滝和也