滝和也

「宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択の滝和也のレビュー・感想・評価

3.6
宇宙戦艦ヤマト、
リブート版の総集編
でありながら、
ヤマトワールドを
更に理解し、広げる
解説書の様な…(笑)

そんなこともあろうかと
真田さんが用意してた…(笑)

「「宇宙戦艦ヤマト」という時代
 西暦2202年の選択」

宇宙戦艦ヤマト、ヤマト2をリブートした2199、2202の総集編であり、エピソード0を加えた作品です。語り部は真田二等宙佐(大塚芳忠)、新見一等宙尉。まるでNHKの歴史ノンフィクションの様な作りですね(^^)

エピソード0はアポロが月に向かう所からスタートし、謎だった外惑星戦争による国連宇宙軍の開設、ガミラスとのファーストコンタクト、第二次火星沖海戦を描いており、ヤマトの改造までの流れも描かれていてファンとしては興味深かったですね。戦術的な勝利とされた沖田率いる地球艦隊が如何にしてガミラスに対したかが、日露戦争の日本海大海戦の東郷ターンを模した沖田ターンとは(^^)

そこから2199におけるガミラス戦が描かれますが、こちらは流石にいちど纏めた作品を出しただけに短めですし、対ドメル艦隊、七色星団の攻防や、デスラーの野蛮人め…!のシークエンスは無く迫力不足。

それに対して2202のガトランティス戦役は見事に纏っていて、本編より何倍もわかりやすい上にテーマも明確に伝わる作りですね。要は真田さんの解説がないとはっきりと明確なストーリーラインが伝わらない程、本編があっちにいったりこっちにいったり、散漫な上に如何に蛇足が多かったのかと言う証拠ですね。

デスラー、ガトランティス、ヤマト、地球政府、ガミラスと更に銀河まで次々とバラバラに提示された思惑が真田解説で一気に繋がる。故に愛とは耐え難い苦難を伴うものだが、それ以外に人を救うものはないと言うテーマをわかりやすく伝えてくるんですね。

まぁ…ガトランティス都市帝国戦、土星沖海戦など、確かに描写の激しさ、スケールは凄かったものの、そのカタルシス、人は愛のため、愛する人、仲間を救うために命すら投げ出し戦うと言う部分では、元作であるヤマト2、さらばに全く届かないレベルであるのは変わりませんが、まだ気にならない程度には繋がりの良さでカバーしていると思います。

さらばを見ている方には分かりますね。あの、凄まじい激闘…古代加藤のコスモタイガーを守り撃墜され都市帝国の岩盤に敬礼しながら墜落していく山本、突入した都市帝国動力炉前で仁王立ちし、真田の盾となる斉藤。そして斉藤に感謝を送り、ニヤリ笑い動力炉で自爆する真田、そして古代たちの帰路を作るため、コスモタイガーを死守し銃座で傷つきながら、打ち尽くし事切れていた加藤…。この奇跡の連打のような、命とは、誰のため、何のために使うのかを伝えていたあの作品には歯が立つわけもありません。

まぁ…2202後半の否定派の僕でもあぁ纏っているなと思ったので総集編として良い作品だとは思います。確かに名作中の名作さらばを超えることはできませんでしたが、新たなる旅立ち以後のヤマトならまだ勝ち目はあります。ただあのデスラーの古代!私ごと波動砲で撃て!を超えられるか、今後のリメイク楽しみですね。
滝和也

滝和也