幽斎

6時間の幽斎のレビュー・感想・評価

6時間(2015年製作の映画)
3.0
C級スリラーをレビューする、Scavenger第62界。原題「6 Hours: The End」ツッコミ処が何んもないのも逆に困る(笑)。AmazonPrimeで0円鑑賞。

珍しいチリ産ディザスター映画。南米の映画はテリトリー外で知らないが、チリはアメリカの影響を強く受け映画産業はとても盛ん。例えばレビュー済「スペンサー ダイアナの決意」チリも製作国。最近では「オオカミの家」メッセージ性の強い傑作も登場。後はスケベ映画が大好きな国。書くのもアホらしい「ザ・レイプ」シリーズのチリ産は意外にも評判はイイらしい。私は絶対見てないよ、ホントだよ!(笑)。

気を取り直して、本作は正真正銘本国で劇場公開された作品。チリの方は気が短いのか67分と長編映画ではかなり短め。チリは日本と同じく地震大国でチリ発の地震で津波が押し寄せ、宮城県の女川原子力発電所が影響を受けた事は記憶に新しい。私は京都在絡なので原発に対する意識はとても薄いが、自分が使う電力の全ては関西電力、関西と言うには程遠い越前の福井県に頼るのが実情。

本作は東日本大震災に触発されて創られたソウだが、能天気なアメリカですら原発でパニック映画なんか創れば大論争に成る、ナゼって?不謹慎だから。何処とは言わないがG7のある国は、日本で核爆発が起こったと本気で報じてたからね。日本人でも認識不足な方も居るが、アレは原子炉建屋の水素の爆発で、ベントが守られてれば何の問題も無かった。全ては自分が視察に行くと言って復旧の邪魔をした菅直人に依る人災。

日本の首相がコノ程度なので、本作の放射能汚染のデタラメを扱き下ろしても余り説得力は無い。ディザスター映画が隆盛を極めたのは、「Breakdown of Order」秩序崩壊は人間の本性がムキ出しの欲望に変わる点がデフォルトで、自分だけが助かりたいか、誰かを助けるのが優先なのか、ソレとも諦めるのか、人物描写が見所でどうせ死ぬのだからと、集団レイプが起きたり、金品に目が眩むバカも居る。ディザスター映画が衰退した理由は、本当の事が描けないコンプライアンスへの忖度が世間一般にも蔓延してるから。

6時間も有れば結構な距離まで逃げられる筈だが、喧嘩したりセックスしたり大麻吸ったり、無駄な作業が多くソレが人生の縮図とでも言いたいのだろうが、少なくともメルトダウンで街が暴徒化するのはリアリティに欠ける、だって死ぬよ逃げなきゃ。ラスト1時間で、ようやく重い腰を上げるが、果たしてソレまでの5時間は何だったのかと小一時間説教したい。唯一の見所はアサイラム顔負けの大爆発シーン。だが、日本人は原発が爆発するよりも、その後の放射能汚染の方が恐ろしい事を身を持って体験してる。平和ボケのチリに、「ゴジラ-1.0」を見て放射能汚染の現実もして欲しい。

スリラー派の私は原題通りの結末に納得(笑)。注意喚起の意味でも、暇潰しに為るかも。
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