なんて哀しい
仄かな愛の物語
腕にちらっと映る数字のタトゥーで強制収容所の生存者だとわかる42歳の産婦人科医アルドと、同じく収容所の生存者である16歳のクララ。
浴槽で妹を思い出し、アルドに父の面影を重ね、熱にうなされて母と叔母を見間違うクララや
あまりに辛くて見ることもできず
亡くした家族のアルバムをしまい続けるアルドは
残された者として生きる苦痛を抱えながら
互いに寄り添いあって
親子のように、友人のように、あるいは時として淡い恋人のように日々を重ねていく
んですけども。
家族でもない2人。
人生を全て奪われて、解放まもなく次は国を奪われていく。そんな時代に生まれてしまって、歴史という大局の前では個人はいつもあまりに小さすぎて…。
おばちゃまの理解も虚しく
そんな曖昧な関係が時代的な道徳感や当局に受け入れられるわけもなく
結局それぞれの道をいくんですけども。
切ない。
そんなものこんな舞台設定借りちゃえばもう起こること全て切ないだろって思っちゃうけどそれでも
大きな展開も怒涛の感情的発露もない物静かな映画だったのに、最後の最後アルドが見せる表情にもうハッとさせられてしまう。
ねえ、あれはもう
愛してたよね。
個人的琴線に思っていたよりぶっささってしまう。ええ、年始からなんかクリーンヒットしてしまった
わー、90分
見てよかった
ちょうど『夜と霧』を読んでいたので鑑賞。あまりにも凄惨な事態のあと、人の心にはさまざまな傷があって、さまざまな回復方法があるのだと子供から学ぶことは多い。